准看護師が廃止になるって本当?いつから廃止になるの?

悩む看護師

「准看護師の資格が廃止になる」-医療業界でこの話題が取り沙汰されてから20年以上経過しますが、日本看護師協会はこの間ずっと准看護師養成停止の運動と准看護師資格廃止を提唱してきました。

一方で日本医師会ではこの主張とは異なる見解を示しています。
そのため、准看護師資格の取扱いについては膠着状態が続き制度の廃止には至っておらず、廃止時期についても明言されていません。
しかしながら、医療現場で高まる専門性の需要や待遇の観点から、准看護師の養成機関や准看護師資格の取得希望者数が年々減少しているのは事実です。

そもそも正看護師と准看護師ってなにが違うの?

正看護師と准看護師

では、正看護師と准看護師の違いについて見ていきましょう

正看護師になるには
・最終学歴が高校卒業以上である
 ※准看護師から正看護師になる場合は別に定められる要件あり
・3年以上、102単位3000時間以上の教育を受けた後、国家試験に合格する必要がある
准看護師になるには
・最終学歴が中学卒業以上である
・2年以上、1890時間以上の教育を受けた後、試験に合格する必要がある

なお、正看護師は厚生労働大臣が発行する免許で国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県知事が発行する免許で国家資格ではありません。
この2つの資格において実際の医療現場での業務内容に大差はありませんが、正看護師は自らの判断で患者の看護業務を行うのに対して、准看護師は医師や正看護師の指示のもと看護業務を行うことができます
また、看護計画の立案や管理職としての従事は正看護師のみの業務内容です。

准看護師制度の廃止に向けた取り組みが進んでいる理由

日本看護師協会では、なぜ准看護師制度の廃止が検討され続けているのでしょうか。
この准看護師制度はもともと、戦後の急速な病院増加と共に看護師不足に陥った当時の危機的状況を回避すべく、看護師の補助的役割を担う資格として整備されました。

ですが時代の流れと共に社会は高齢化し、また複数疾患を持つ患者は増え、さらに提供する医療が高度化・複雑化してきた現場において、看護の質もより高いものが求められるようになってきました。
そのため、資格取得に際して演習時間が短く、医師や看護師の指示のもとで従事せざるを得ない准看護師は、その知識の幅や業務上の効率面から時代にそぐわないとして正看護師との一本化が検討され、准看護師養成停止の働きかけや准看護師制度廃止が提言されるようになりました。

准看護師制度を活かしながら今後を見据える医師会

一方で、准看護師制度の充足を目指す日本医師会の動向にも目を向けておく必要があります。
日本医師会は、長きにわたり医療を担う従事者の養成に取り組み、地域の医療を支えてきました。
そして業務の内容に即した看護配置、業務分担においての正看護師と准看護師それぞれの必要性を説いています。

事実、慢性的に看護師不足の医療現場では、准看護師が療養や介護などの特定分野や初期医療現場を支えているのが現状です。
この実情を踏まえると、准看護師制度の廃止についてはまだまだ検討段階にあり、すぐに制度が廃止されることは考え難い状況です

今後も見込める准看護師の需要

前述した背景から、准看護師の需要がすぐになくなることは考えにくく、さらに看護師の確保が困難な人口の少ない都市や予算の限られた医療機関では、准看護師の採用に力を入れることも考えられ、准看護師の需要は今後も続き今の医療現場では必要不可欠な戦力と言えるでしょう

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※参考
(日本看護協会) 『准看護師制度について
(日本医師会) 『地域医療を支える看護職員の養成について