認定看護師になるには?制度改正と新分野について学ぼう!

紹介をする看護師

認定看護師とは日本看護協会が認定する専門職で、ある特定分野の看護に精通し多くの経験と熟練した技術をもって現場に従事します
この認定看護師制度は、近年の高度かつ複雑化してきた医療現場で求められる専門性に対して、質の高い看護を提供するために設けられました。
認定看護師の主な役割は以下の「実践」「指導」「相談」の三つです。

「実践」…特定分野の臨床で培った深度のある知識や技術力で質の高い看護を実践します。
「指導」…看護の実践を通して看護職への指導を行い臨床の看護水準向上を目指します。
「相談」…看護の課題に直面する看護職等の相談に応じ解決に向けた協議や助言をします。

現行制度で認定看護師が担っている21種類の看護分野を確認しよう!

医師と相談をする看護師

現在、認定看護師が必要とされている看護分野は以下の21種類です。

救急看護/集中ケア/緩和ケア/がん性疼痛看護/がん化学療法看護/訪問看護/不妊症看護/透析看護/摂食・嚥下障害看護/小児救急看護/脳卒中リハビリテーション看護/慢性呼吸器疾患看護/慢性心不全看護/皮膚・排泄ケア/感染管理/糖尿病看護/新生児集中ケア/手術看護/乳がん看護/認知症看護/がん放射線療法看護

この制度は、2020年に看護分野・分類を含めた制度内容が一部改正され、認定看護師育成にあたっては新制度への移行期にあります。
現在ある21分野での育成カリキュラムは2026年を目処に終了します。

2020年に始まった認定看護師育成の新制度について学ぼう!

日本看護協会は、社会や医療現場のニーズに応えるため看護範囲や認定看護師の在り方について検討し制度の改正を行いました。

その結果今後は、看護の現場が急性期から地域の在宅看護まで、疾患やその経過に応じで様々なシーンが想定されるため、対象への看護提供の場を広げることを制度の目的として追加しました。
さらに、現行の21分野は表1に記述される理由から19分野に統合・名称変更され、2020年からは新たに再編した19分野での認定看護師の育成が始まっています。

認定看護分野一覧と分野統合および分野名変更の理由
※出典:日本看護協会「認定看護師」
現行の認定看護分野 (21分野) 新たな認定看護分野 (19分野) 分野統合および分野名変更の理由
救急看護 クリティカルケア 医療社会のニーズから集中的な治療を必要とする患者への ケアに特化した新たな分野を創設した。 分野名はクリティカ ル期にある重症患者を対象とすることから「クリティカルケア」とした
集中ケア
緩和ケア 緩和ケア 症状緩和技術やがん性疼痛に対する薬剤の知識などの両分野 の強みをいかし幅広く活動できる分野とするため統合した。分野名は非がん患者に対するケアの充実が期待されているため「緩和ケア」とした
がん性疼痛看護
がん化学療法看護 がん薬物療法看護 がん対策基本法に基づく第3期がん対策推進基本計画から「化学療法」が「薬物療法」に変更されたため
訪問看護 在宅ケア 入院施設等の退院支援実践者も受講するようになり、現行の 分野名ではCNの役割を表現しきれなくなっているため
不妊症看護 生殖看護 近年では 「生殖医療」 に不妊症が包含されているため
透析看護 腎不全看護 透析導入を予防するためには「透析看護」では不十分なため
摂食・嚥下障害看護 摂食嚥下障害看護 「摂食・嚥下」から「摂食嚥下」へ用語が変更となったため
小児救急看護 小児プライマリケア 救急場面だけではなく外来・地域などのプライマリの場を中心として子どもの健康問題に対応できるようにするため
脳卒中リハビリテーション看護 脳卒中看護 「リハビリテーション」という用語によって看護を提供する場が限定されたイメージであるため
慢性呼吸器疾患看護 呼吸器疾患看護 急性と慢性が連続性を持った病態であるため、 区分せずに専 |門的なケアの提供が必要であるため
慢性心不全看護 心不全看護
皮膚・排泄ケア 皮膚・排泄ケア 分野統合や分野名に変更なし
感染管理 感染管理
糖尿病看護 糖尿病看護
新生児集中ケア 新生児集中ケア
手術看護 手術看護
乳がん看護 乳がん看護
認知症看護 認知症看護
がん放射線療法看護 がん放射線療法看護

なお、新制度の認定看護師研修内容には、これまでになかった特定行為研修制度の学習内容が追加されたことにより、さらに広い知識や技術を習得できる制度内容になっています。

どうしたら認定看護師になれるの?

では認定看護師になるためにはどうすればいいのか? その資格取得条件を確認しましょう。

1. 日本国の看護師免許を有すること
2. 看護師免許取得後、実務経験が通算5年以上あること
(うち3年以上が認定看護分野の実務研修であること)
3. 認定看護師教育機関で必要課程を修了すること
(旧制度からのA課程カリキュラムと新制度のB課程カリキュラムがありどちらを学ぶかによって定められた履修時間が異なります)
4. 看護師認定審査(筆記試験)に合格すること

これらの要件を満たすと、認定看護師認定証の交付・認定看護師名簿への登録がなされます。この認定看護師の資格は5年ごとに更新が必要です。
また既にA課程での認定看護師資格を有する看護師さんについては、B課程で追加された特定行為研修を受けることで新制度資格への移行手続きが可能です。

認定看護師の資格を取るメリットとは?

特定分野の専門性を身に付けた認定看護師は、高度な看護を提供することで看護対象やその家族に対して直接的な貢献ができます。
これは自身のやりがいやモチベーションに繋がるでしょう。

また、日々の看護業務で専門性に磨きがかかることで、職場によっては役職や給与等の待遇面で評価されることも期待できます。
そして何より「認定看護師資格」という明白な形で看護力が示されることで転職や復職にも有利に働くことは間違いないと言えます。

まずは、看護師さん自身が望む分野での専門性を高めることが、今後のキャリア形成の足掛かりにもなるでしょう。

※参考
(日本看護協会) 『認定看護師』『新たな認定看護師への移行について
(認定看護管理者会) 『認定看護管理者会