高齢化の影響もあり、日本人では二人に一人が生涯でがんになるといわれる現代。
がん医療に携わる看護師さんの役割もより重要になっています。
がん医療の現場で幅広く活躍する、がん看護専門看護師の資格や役割について詳しく見ていきましょう。
がん専門看護師とは
まず専門看護師とは、専門看護師認定審査に合格することで取得できる資格です。
次の14の専門看護分野があり、合格するとその分野において高い水準の看護が実践できる専門看護師として活動できるようになります。
専門看護分野
がん看護/在宅看護/家族支援/慢性疾患看護/急性・重症患者看護/遺伝看護/感染症看護/母性看護/災害看護/精神看護/地域看護/放射線看護/老人看護/小児看護
この専門看護分野のうち取得者が一番多い分野が、がん看護です。
「がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する」という特徴があります。
2023年12月時点では全分野で3,316名、がん分野では1,090名の専門看護師が登録されています。
※出典:日本看護協会「専門看護師」
がんの患者さんは痛みや吐き気など身体的苦痛のほかに、不安や混乱といった精神的な苦痛を抱える人が多く、闘病を支える家族の心理的負担も大きいものです。
がん看護専門看護師は、そのような点も含めて理解し、治療中の生活の質を向上させるという広い視野を持って活動することが求められます。
どうしたらなれる? がん看護専門看護師
専門看護師の資格を取得するには専門看護師認定審査を受けることが必要ですが、審査を受けるには三つの受験資格を満たす必要があります。
②看護系大学の大学院修士課程で所定の単位を取得し、修了している
③5年以上の実務研修がある
がん分野では、がん看護に半分以上の業務を費やして3年以上の実務研修を行う必要があります。
受験資格を満たしたら、次の申請手続きを行います。
②審査料の振込[審査料は51,700円(税込・2024年4月時点)]
③審査書類と筆記試験(論述式)を提出
合格発表は『資格認定制度 審査・申請システム』で行われます。
合格すれば晴れて専門看護師の資格取得となり、以降、5年ごとに資格更新があります。
※出典:日本看護協会「専門看護師」
がん看護専門看護師の活躍の場
日々発展を続けるがん治療の現場で、その専門知識を生かせる場は多岐にわたります。
がん看護専門看護師の具体的な役割としては「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」という6つが挙げられています。
看護の実践だけではなく、薬物療法における副作用への対応についての助言や、医師、薬剤師等との相談なども重要な役割です。
ほかの看護師への教育や大学院等での講義など、教育者、研究者として活躍することもできるのが大きな特徴で、医師のように学会発表を行う専門看護師さんもいます。
日々の看護業務はもちろん、最先端の治療や技術を知り、医療の発展に貢献したい看護師さんや、マネジメントや人材育成に関心がある看護師さん、実践から得た経験を元に研究をしてみたい看護師さんには、チャレンジしがいのある資格ではないでしょうか。
がん看護専門看護師の資格を持った看護師さんの就職先は、がん診療連携拠点病院が多くを占めています。
一方でがんに関わる医療には薬物療法、放射線療法、手術のほか、緩和ケアや在宅医療などさまざまな側面があり、多くの病院にとって、がん看護専門看護師の資格を持った看護師さんは貴重な存在であることは間違いありません。
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どんな病院ががん治療の現場で働く看護師さんを求めているのか、興味のある看護師さんはまずは検索してみてはいかがでしょうか。
(日本看護協会) 『専門看護師』 『がん看護専門看護師・
がん化学療法・がん放射線療法看護認定看護師の
養成・就業状況について(PDF)』
(厚生労働省) 『がん対策情報センターによる推計値(PDF)』