新型コロナウイルスや薬剤耐性菌などの新興感染症や院内アウトブレイクの増加により、医療機関では感染対策の重要性がますます高まっています。その中で注目されているのが「感染管理認定看護師(ICN)」です。
ICNは、多種ある認定看護師の中でも医療関連感染の予防・管理を専門とする認定看護師。医療安全の重要なポジションといえますが、専門性の高さから需要が拡大しており、専門手当などの待遇面でも評価される職種です。
今後の医療現場において、将来性の高いキャリアパスの一つといえる感染管理認定看護師にステップアップする方法をチェックしましょう。
ICNになるまでのステップ
感染管理認定看護師になるには、次のステップを踏む必要があります。
STEP1:基礎要件
・まずは「看護師免許を取得し、実務経験が3年以上あること」という基礎要件をクリアしておく必要があることに注意しましょう。
STEP2:感染管理認定看護師教育課程
・日本看護協会が定める教育課程(約6か月・615時間以上)で感染管理学、疫学、微生物学、医療関連感染サーベイランス、感染防止技術などを学び、修了します。
STEP3:認定審査に合格
・教育課程修了後、日本看護協会の認定審査に合格すると「感染管理認定看護師」として登録されます。
STEP4:5年ごとの更新
・認定看護師のレベル保持のため、認定更新制がとられています。実績報告や研修受講などを通じて、5年ごとに資格更新が必要です。
感染管理認定看護師の主な業務

感染管理認定看護師(ICN)は、医療機関内で以下のような業務に携わります。
1. サーベイランス(HAI率モニタリング)
院内感染の発生率を定期的に調査・分析し、対策を講じます。
2. 院内教育(手指衛生・PPE)
医療スタッフに対して、感染予防のための教育や指導を行います。
3. 多職種コンサルテーション
医師、薬剤師、清掃スタッフなどと連携し、感染対策を統括します。
4. 抗菌薬適正使用支援(AST)
抗菌薬の使用状況を監視し、適正な使用を促進します。
5. 感染対策マニュアル改訂
最新の知見をもとに、院内の感染対策マニュアルを整備・更新します。
これらの業務は医療安全の向上に直結するため、感染症対策でリーダーシップがとれる感染管理認定看護師(ICN)の存在は医療機関にとって不可欠とも言えます。専門的な知識を蓄え、普段の業務から感染症の管理に当たっていれば、今後新たな感染症が発生した際にも必ず役に立ちます。
転職・キャリアアップに有利
このように、感染管理認定看護師(ICN)は専門性が高く、昨今の感染症対策ニーズの高まりから医療機関からのニーズも強いため、転職市場でも有利な資格だといえるでしょう。資格取得支援制度を設けている病院もあり、働きながら学べる環境が整っている職場も増えています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんに対応した看護師さんも多いはず。そんな看護師さんは、感染症に特化した知識の必要性を感じたのではないでしょうか。
感染管理看護師は、医療現場の安全を守る専門職として、今後ますます需要が高まることが予想されます。専門知識を身につけ、認定資格を取得することで、キャリアの幅が広がり、職場での活躍、昇進にもつながります。
資格取得にチャレンジして、晴れて感染管理認定看護師になれたら、その資格を生かして就職・転職先を探す方もいるでしょう。感染管理認定看護師の求人を探す際は、教育支援の有無や感染対策チームの体制、AST活動の有無などのチェックをすることをおすすめします。これらは、一生懸命取った認定看護師の資格を生かして働くためにも大切なポイントになりますよ。
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