看護師さんの出世を考える 看護師長の役割とは

看護師長の仕事風景

せっかく看護師として働くならキャリアアップしていきたい、と考える看護師さんは多いのではないでしょうか。
看護師さんとして働く上でのキャリアアップというと、おおまかには資格を取ること、さまざまな部署を経験すること、そして看護管理者になることの3つになります。
看護管理者とは病院の看護部門や病棟などの組織を運営する管理職のことです。
その中でも看護師長は看護主任と看護部長の間の管理職であり、一般企業でいうと課長のような立場にあたります。

職場でも身近な立場である看護師長はどのような仕事をしているのでしょうか。ここでは看護師長の主な役割や求められる能力について解説します!

看護師長の仕事内容

部下にアドバイスをする看護師
看護師長は病棟や外来などの各部署の責任者として配置されています。
看護師長の大きな役割のひとつは、所属している看護師さんがスムーズに働くことができるように全体を把握して部署をまとめ上げることです
定期的に面談を行い一人ひとりの希望や業務上の悩みを聞き、技術面だけではなく体調や精神面にも配慮し、部署内の方針や目標を掲げ、よりよい看護を提供するためにスタッフを導きます。

また、患者さんの状況を把握することも看護師長の仕事です。
入院されている患者さんの数や状況だけでなく、今後入院される予定の患者さんや退院・転院される患者さんのことも考えて退院や転院日の調整を行い、医師や経営陣に意見を伝えるなどして適切な治療や看護を受けられるように手助けをすることもあります。
病院ではさまざまな予期せぬ事態が起こります。もし患者さんとの間にトラブルが発生して看護師さんや看護主任では解決しない場合には、看護師長が間に入って対応します。
災害発生などの緊急時にも看護師長が責任者として指揮をとり、安全を確保します。

看護師長さんに必要な能力とは?

部署のトップとして組織をまとめるためにどのようなスキルが求められるのでしょうか。
主な4つの能力について見ていきましょう。

リーダーシップ

看護師さんを指導し、問題の改善にあたるにはリーダーとして具体的な行動指針を示し、チームを引っ張っていく必要があります。
また、カンファレンスやミーティングなどで看護師さんの意見や要望をまとめ、部署を代表して上の人たちに伝える役目もあります。

コミュニケーション能力

看護師さんだけではなく、患者さんや医師、他部署の職員など人と関わることが多いので、自分の意見や主張をはっきり伝え、相手の考えも尊重するコミュニケーション能力が求められます。

豊富な知識と経験

状況や環境を見て適切な判断を行うには豊富な知識と経験が必要になります。
慌てずに現場をサポートするためいろいろな状況に慣れていると不測の事態にも対処しやすいでしょう。

分析力と問題解決能力

職場環境や人間関係などの問題点に気づき、状況を冷静に判断して改善に向けて対処する姿勢が求められます。
そのためには、日ごろから全体を把握し、些細な変化にも気付けるようにしておく必要があります。
また、働きやすい環境を作るために、一人ひとりの性格や適性を理解し、スキルや希望に応じて適切な業務を割り振ることも大事です。

看護師長になるには

看護師さんのキャリアアップは、看護主任から看護師長、看護部長という流れが一般的です
看護主任は10年以上の臨床経験、看護師長は10年~20年の臨床経験と管理職経験、看護部長は30年以上の臨床経験と管理職経験があると望ましいといえます。
看護主任として数年働いた後で看護師としてのスキル、人柄などから看護師長に推薦されることがあるようです。
病院によっては昇進試験がある場合もあります。

看護師長は、基本的に受け持ちの患者さんを持たずに看護師さんたちをまとめています。
看護師長が患者さんのケアをするのではなく、病棟や看護師さんのサポートをすることで、ほかの看護師さんによる患者さんへの質の高いケアへとつながっています。
看護師長は良い医療や良い看護を支えるやりがいのある仕事だと言えそうですね。
日ごろから患者さんに丁寧に寄り添って看護をするだけではなく、病院全体のことを考えて動き、周りの人たちと連携・共有し、コミュニケーションを大切にして経験を積むことが看護師長への道につながるかもしれません。

※参考
(日本看護協会) 『病院看護管理者のマネジメントラダー(PDF)