初任給が低い施設ほど新卒看護職員の離職率が高い傾向が明確に示されていることが、日本看護協会の最新調査でわかっています。特に、基本給だけでなく手当を含めた「モデル賃金(総支給額)」が低い施設では、離職率がさらに高まる傾向にあるようです。
これは、給与の額面だけでなく、安定性や見通しが新卒期の安心感に直結していることを示唆しているのではないでしょうか。本記事では、日本看護協会が2025年6月に発表したニュースリリースをもとに、初任給とモデル賃金の二軸から離職率との相関を読み解き、求人票のどこに注目すべきかを具体的に解説していきます。
データが示す「給与と離職率」の明確な関係
日本看護協会が2025年6月に公表したニュースリリースでは、初任給の額と新卒看護職員の離職率に明確な相関が示されています。

さらに、ニューリリース同ページ内の下記 図表15では、基本給に諸手当を加えた「モデル賃金(総支給額)」別の離職率も示されており、総支給が「25万円未満」の施設では離職率が13.8%、一方「45万円以上」の施設では10.3%と、こちらも明確な差が見られます。

この2つのデータを重ねて見ると、基本給が低く、かつ手当も少ない施設ほど離職率が高いという構図が浮かび上がってきます。つまり、「給与の低さ」は新卒看護師の離職リスクを高める要因の一つであることが、数字からも読み取れるのです。
なぜ給与が離職率に影響するのか?
新卒期は、生活基盤を整えるための出費が多く、家賃・交通費・生活費などの固定費が一気に立ち上がる時期と言えます。そのため、安定した収入が得られるかどうかは、心理的にも経済的にも大きな安心材料になるはずです。
一方、手当で補う給与設計は、夜勤やオンコールの回数、配属先の業務内容によって変動しやすく、月ごとの収入にばらつきが出やすいのが実情です。とくに新卒看護師は夜勤導入が遅れることも多く、手当が満額支給されるまでに時間がかかるケースもあります。
このように、基本給が低く、手当も不安定な場合、「思っていたよりも収入が少ない」「生活が苦しい」と感じやすくなり、結果として早期離職につながる可能性が高まるのでしょう。
求人票で見るべきポイントはここ!
新卒で職場を選ぶ際、給与の欄をどう読み解くかはとても重要です。
以下のチェックリストを参考に、求人票の数字の奥を見てみましょう。
離職率を下げるには、安定した給与と見通しある育成がカギ
調査結果から明らかなように、新卒看護師の離職率は、給与の水準と密接に関係しています。基本給が高く、手当も安定して支給される職場では、離職率が低くなる傾向が見られました。
一方で、給与が低く、手当が不安定な施設では、生活の不安や将来への不透明感が離職につながりやすくなります。だからこそ、職場選びでは「初任給」と「モデル賃金」の両方を確認し、教育体制や配属の見通しまで含めて、総合的に判断することが大切でしょう。
努力が正しく評価され、安心して成長できる環境を選ぶことが、未来のキャリアを支える第一歩になります。私たちと一緒に自分らしい看護の道を選んでいきましょう!

















• モデル賃金の提示 → 基本給+固定手当の総支給額が明記されているか
• 夜勤導入時期 → 入職後すぐなのか、数ヶ月後なのか
• 夜勤・深夜割増の扱い → 固定か変動か、一定回数超の加算はあるか
• 固定残業の有無 → 何時間分含まれているか、超過分はどうなるのか
• 教育体制 → プリセプター制度の有無、独り立ちの基準や時期
• 配属見通し → 希望が通りやすいか、ローテーション制か など