新卒採用なのに辞めても大丈夫? 新卒看護師さんが円満退職するために

退職届

日本看護協会が看護職員の労働環境、需給バランス、看護業務の実情などを把握するため毎年実施している「病院看護実態調査」において2022年度の調査結果では、看護師の離職率が、正規雇用看護職員 11.6%、新卒採用者 10.3%、既卒採用者 16.8%と前年度に比べていずれも増加しています。
そして新卒採用者の離職率は2005年以降、初めて10%を超えました。

これにはどのような背景があるのか?新卒採用の看護師さんの退職理由について、また、悪い印象を残さず退職するために気を付ける点、その後の再就職についてもあわせて詳しく確認していきましょう。

新卒看護師さんの退職理由にはどんなものがあるの?

PCを見ながら悩む女性
新卒採用の看護師さんが退職する理由にはどんなものがあるのでしょうか。
そして新卒採用看護師さんの離職率が高い背景には何があるのでしょうか。

厚生労働省職業安定局の調査では、新卒採用の看護師さんの離職理由で最も多かったのが「基礎教育終了時点の能力と現場が求める能力とのギャップ」でした。
命に携わる看護現場で新卒看護師さんが受けるリアリティショックは相当な不安やストレスを伴うことでしょう。

その他にも「看護職員に従来より高い能力が求められるようになってきている」、「個々の看護職員を認める・ほめることが少ない職場風土」、「現場の看護職員が新卒看護職員に教える時間がなくなってきている」、「交代制など不規則な勤務形態による労働負担が大きい」などが退職理由として挙げられています。
これらは、新卒看護師さん自身の意識や努力不足以前に、入職後の新人研修体制や職場環境の体制の不備といった、看護現場の現状が抱えている根深い問題が影響していると言えるのかもしれません。

この新卒看護職さんの早期離職問題については、さまざまな対策が多角的に検討されているところです。

もし新卒で離職したらまた再就職はできる?

もしも、新卒採用で働いている職場を退職したいと思った場合、新人看護師さんとしては「新卒で辞めたら次の再就職先は見つけられるのか?」というのが一番不安な点ではないでしょうか。
結論から言うと、新卒で辞めるという点についてはあまり懸念事項として捉えなくてよいでしょう。
少子高齢化が急速に進む現代社会において、看護師さんの需要は今後も増大することが見込まれており、厚生労働省では看護職員確保対策を立て、看護師の復職支援や離職防止、定着促進などを推し進めています。

また再就職に際しては、前職の退職理由の伝え方も重要です。
採用側の人に不安要素となりそうな退職理由の場合には、それについての明言は避け、自身の持つ看護観に沿った意欲的な志望動機を添える、退職を前向きなステップアップとして捉えられるような伝え方をしましょう。

悪い印象を残さず退職するために気を付けることとは?

では、今の職場を退職すると決めた後、できるだけスムーズに双方気持ちよく退職を進めるには、いくつかの注意点があります。

まずは職場の就業規則を確認し、それに則って退職の準備をしましょう。
看護業務上の引継ぎ等の準備を進め、現場や他看護職への負担を最小限にするのはとても大事なことです。

また並行して次の職場探しや面接の段取りをしておくことも、再就職までの期間を短縮できて効率的でしょう。
そして、いざ職場へ転職の意思を伝える場合には、前向きな離職理由や応援したくなるような意欲を伝えることで、退職に対する職場からの印象はぐっと変わります。
退職理由の伝え方次第で、次の職場への再就職もより前向きな想いや向上心を持って臨めるでしょう。