緩和ケアとは、がんや生命を脅かす病気にかかっている患者さんとご家族の身体的・精神的な苦痛をやわらげるケアのことです。
ご自身の家族がお世話になった経験のある看護師さんもいらっしゃることでしょう。
ここでは緩和ケアに携わっている看護師さんのやりがいについてお話しします。
緩和ケアのニーズと看護師さんの役割
現代では、日本人の約4人に1人ががんで亡くなっています。これ以上の治療は受けられません、と言われてしまったとき、およそ8割の方は自宅で最期を迎えたいと考えています。
しかし、自宅療養となるとご家族にも患者さん本人にも負担になります。病院でしたら医師や看護師さんが24時間近くにいてケアをしてくれますし、お風呂に入れてくれることもあり、ご家族にとって安心です。
一方で、看護のプロでも患者さんを看取ることはつらいでしょう。緩和ケア病棟で働くということは人間の終焉を看取るという過大な心的エネルギーを必要とします。
何をゴールに頑張ればいいのかと心が折れてしまうこともあるかもしれません。そんな患者さんに寄り添い安らかな最期を迎えるためのサポートやケアすることは、看護師さんご自身のやりがいにもつながります。
では、ホスピスや緩和ケア病棟では、どのようなやりがいがあるのでしょうか。
緩和ケアの看護師さんのやりがいとは?
痛みや不安を抱える患者さんが穏やかに1日を過ごすためには、まず、十分な睡眠と痛みがなく過ごせること、食事を楽しむことなど、それができるだけでも患者さんの幸福感が増えていきます。
小さなことのようですが、少しでも患者さんの穏やかな時間や笑顔を増やすことが、看護師さんの達成感につながるでしょう。
また、患者さんのご家族も不安を抱えていますが、看護師さんのケアによって穏やかなひとときを過ごせた患者さんの顔を見るとご家族も安心します。
そんなご家族からの「いつもありがとう」という感謝の言葉も看護師をやっていてよかったと思える瞬間でしょう。
どうやって気分転換する?
献身的にサポートをしていた患者さんを看取ることは、看護師さんにとってもつらいことですね。自分には何もできなかった、という無力感を感じることがあるかもしれません。
前向きに気持ちを切り替えるために、以下のことを心に留めておきましょう。
・患者さんやご家族に感情移入しすぎない
患者さんやご家族とコミュニケーションをとり、その人に寄り添ってケアをしていると、どうしても別れがつらくなります。悲しんでいるご家族を見るのも心が痛むでしょう。
しかし患者さんご本人は、痛みから解放されて楽になったという見方もあります。
ご家族の悲しみと自分の気持ちを切り離して、少し距離をもって自分の感情をコントロールしましょう。
・プライベートを大切にする
退勤後は仕事のことは考えずに、自分の好きなことを楽しむことが大切です。
好きな映画や漫画を見たり、体を動かしたり、友だちと食事をしたり、旅行に行ったり。仕事の大変さを引きずらずに、オンとオフをしっかり切り替えましょう。
・上司や同僚に相談する
看護師さんの力不足ということではなく、病気や薬のせいで不安にとらわれたり感情がたかぶったりして看護師さんにつらく当たる患者さんもいるかもしれません。
病気のせいだとはいっても気持ちを切り替えられないという時は、看護師さん自身もケアが必要なとき。周りの人たちに相談し、一人で抱え込まずに話を聞いてもらいましょう。
上記のようなことを試しても気持ちが切り替えられない場合は、向いている職場がほかの場所にあるということかもしれません。
それならば、無理に今の職場で働き続けるのではなく、転職するという手段もあります。
自分にはどのような病院が合うのかわからないという場合は、応援看護師として期間限定で気になる職場で働いてみるということもできます。
カインドメディカルネットにはさまざまな求人があります。あなたに合った仕事選びをサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
(日本緩和医療学会) 『緩和ケアってなに?』
(厚生労働省) 『人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査 報告書(PDF)』 『令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要(PDF)』