現在、約3人に1人が65歳以上の高齢者という高齢化が進んだ日本では、高齢者における急性疾患や外傷などのリスクが高まっているため、救急看護の必要性が急速に増してきている状況です。
また、近年は日本各地で地震や台風などの自然災害が頻発しており、災害現場で救急看護が求められるシーンも増えてきました。
加えて、昨今は救急医療を題材にしたドラマや緊急外来を描いた漫画などの人気の影響もあり、救急看護の分野は各方面からとても注目されています。
この記事では、そんな救急医療の現場で活躍する看護師さんのお仕事内容を詳しく見ていきましょう。
さまざまな場所で必要とされる救急看護
日本救急看護学会では、救急医療の現場で働く看護師さんを救急看護師と呼称し、救急看護について、
「さまざまな状況において突然に生じた傷害または急激な疾病の発症や急性増悪等によって、医療を必要とする人々に対する迅速かつ適切な看護実践をいう」(日本救急看護学会 2022年)と定義しています。
この定義のもとに、救急医療を担う施設では、24時間365日、患者さんの重症度に応じて以下のように初期、二次、三次と段階的な対応が施されるようになっています。
これらの医療施設以外にも、救急看護師の活躍の場はあります。
ドクターヘリにドクターと同乗し到着先で救急看護を提供したり、災害現場に急行し被災地で救急看護を担ったり、海外の災害現場に派遣されることもあり、また、産業分野の救護室での勤務など、幅広い場所で必要とされています。
救急看護師さんの具体的な仕事内容は…
実際に、前述したような医療現場での救急看護師さんの具体的な仕事は以下のような内容です。
・意識レベルの確認、気道の確保や酸素投与などの初期治療
・医師の指示に従い蘇生や止血、採血や点滴のルート確保などの迅速な処置
・患者さんとご家族の混乱や不安など精神的なケアと患者さんについての正確な情報共有
などを主に行います。
これに加えて、災害現場などの救急看護が必要な人が多数いる場合においては、まず患者さんに対する問診やトリアージを行い、医療現場の混乱を治めるために尽力します。
救急看護師になるためには…
救急看護師として働くために、看護師資格以外の特別な資格は必要ありません。
しかし、日本救急看護学会では認証制度を設けており、救急看護の専門知識と技術を持つ看護師さんを学会認証救急看護師と称し認定しています。
学会認証救急看護師になるためには、いくつかの申請資格を満たした上で、書類審査と筆記試験に合格しなければなりません。
詳しくはこちらをご参照ください。
その他にも、認定看護師資格の中の救急看護分野を含むクリティカルケア認定看護師資格や、小児の救急看護分野を含む小児プライマリケア認定看護師資格などは、救急看護師として従事するにあたって、持っていればとても役立つ資格でしょう。
こんな看護師さんが救急医療の現場で活躍できる!
めまぐるしい救急医療の現場では、以下のような資質を持った看護師さんが現場で力を発揮できるとされています。
・迅速で的確な看護技術
・医師からの指示に対応できる臨機応変さと豊富な知識
・周囲の状況を見渡せる視野の広さ
・チーム医療でのコミュニケーション能力
・ご家族への細やかな配慮ができる対応力
・予測不能な現場で従事するための冷静さ
など…緊急対応を要する医療現場で、看護師としての総合力が問われるのが救急看護師です。
精神的・肉体的なハードさが伴う職場なのは間違いないですが、その分、高い技術力が身に付き、看護師としてのキャリアを積めるでしょう。
そして何より、医療現場の第一線で力を発揮できる、やりがいの大きな仕事と言えるのではないでしょうか。
ご自身のこれまで培ってきた看護師としての能力を是非、救急医療の現場で生かしてみませんか?