病院も統廃合や倒産をする時代、いざという時のために看護師さんが覚えておきたいことは?

悩む看護師

現在、超少子高齢化で人口も減少の一途を辿っている日本の社会
総務省がホームページで発表した将来推計人口によると、2023年時点で1億2000万人超の人口は2060年には9000万人を下回るとされています。

厚生労働省は、この人口減少を含め様々な世相を鑑みた医療機関の在り方を検討し、具体的な対応方針案を2019年に発表しました。
病院・クリニックが淘汰されていく次代…そこで本記事では、看護師さんの働く医療機関が統廃合などの理由で離職を余儀なくされた場合の対応について、社会における医療業界の現場背景とともに解説していきます。

病院の統廃合が推し進められるようになった背景

病院のロビー

そもそも、厚生労働省が病院の統廃合を推進する背景にはどのような医療現場の実情が存在するのかを見ていきましょう。
冒頭で述べたように、日本の人口は年々減少しており、さらにはその人口が超高齢化しています。
つまりこれは、医療業界においての労働力人口の減少も示唆しており、社会からの医療ニーズの質・量も変化することが容易に予想できます。

この実情を受けて厚生労働省は、効率的に質の高い医療を提供できる体制を整えるために医療機関の機能分化・連携を進める「地域医療構想」を策定しました。
具体的には、2025年までに高度急性期・急性期・回復期・慢性期と病床機能区分ごとの各医療機関の稼働状況と、各地域の医療需要・病床必要量を分析し、病院機能の重複や病床数の無駄を無くして適正化するため医療機関の統廃合を実施しよう、そして医療従事者数の確保や働き方改革を推進しよう、という構想です。

コロナ禍の影響による医療機関の倒産

この地域医療構想が推し進められる中、2020年の新型コロナウイルス感染症の大流行により、多数の医療機関が休廃業や倒産に追い込まれました。
その理由の一つとしては、コロナ禍での外出自粛や受診によるコロナ感染が懸念され、緊急性の少ない診療科への受診控えが発生し長期間経営が危ぶまれたことです。

特にクリニックの休廃業・倒産は、コロナ禍では過去最多のペースで推移し、2023年には名のある大病院の閉院もありました。
さらに以前より懸念されていたクリニック経営者の高齢化・後継者の不在の問題もそれを加速させた要因の一つとも言えるでしょう。

もしも 働いている職場が統廃合や倒産という事態になったら

このようなニュースばかり耳にすると看護師さん自身も「自分の働いている職場は大丈夫かな?」という不安を抱くこともあるでしょう。
では、もしも看護師さん自身が働く医療機関が統廃合等で離職を余儀なくされた場合、どのような対応をすればよいのでしょうか?

まず、離職するまでの期間の給与については当然ながら保障される権利があります。
もしも未払いの給与があった場合には「未払い賃金立替払制度」を用いて国から給与の8割を立て替え払いしてもらえます
この「未払い賃金立替払制度」は退職金の未払いも対象となりますが、支払限度額が定められているため、具体的な手続き・条件については労働局など公的な機関に問い合わせるのがよいでしょう。

また、離職理由が医療機関の倒産だった場合には、その倒産状況により対応が異なる場合もあるので法律の専門家への相談も視野に入れてもいいかもしれません。
これらの情報を知っておくことで、いざという時でも落ち着いて対処でき、あらたな職場探しへの行動も速やかにできるのではないでしょうか。

クリニックの倒産は過去最多の推移となりましたが、医療業界全体の人手不足は慢性化し常に即戦力が求められています

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※参考
(総務省) 『少子高齢化の進行と人口減少社会の到来
(厚生労働省) 『地域医療構想
(東京労働局) 『会社が倒産した場合の労働債権確保