総務省統計局の調査によると、日本の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は、2023年時点で29.1%と過去最高の数字が出ています。
75歳以上の人口は初めて2000万人を超え、10人に1人が80歳以上という世界でもトップクラスの高齢化率です。
この数字だけを追ってみても、この高齢化社会にとって、看護や介護の必要性、重要性は今後もますます高まっていくことが容易に想像できるでしょう。
この記事では、そんなシニア層の生活を支えたい、高齢の方々の看護に携わりたいと考えている看護師さんに向けて、老年看護における看護師さんの役割を確認していきたいと思います。
高齢者の暮らしを支える老年看護について知ろう!
高齢者の看護分野では、彼らに対する看護と問題点を整理し、老年看護学としての理論的発展に向け、また、老年看護専門職の育成に尽力する組織として、1995年11月23日に一般社団法人老年看護学会が設立されました。
老年看護学では、高齢者自身の意思決定と人権が尊重され、可能な限りその人らしい生活を継続できるように自立支援することを理念としています。
そして、この老年看護の分野で働く看護師さんは、依然として不足しているのが現状です。
これはおそらく、日常的に高齢の方と触れ合う機会が昔より圧倒的に少なくなったため、若い世代の看護師さんが高齢者への対応や看護のイメージが出来ないことも要因でしょう。
また、高齢者や認知症の人に対する偏見や理解不足から起こる、必要のない身体拘束問題についても併せて対策を考えていくために、老年看護学会では正確な情報を発信し、若い世代に老年看護の魅力や重要性を発信し続けることを課題としています。
老年看護における看護師さんの役割とは?
老年看護においては、高齢ゆえに患者さんの持つ症状の複雑化が進んでいるため、看護師さんは、複数の病態を踏まえた多様な情報を統合し、かつ患者さん本人がこれからの人生をどう生きたいかを汲み取るという、より総合的な看護を提供する必要があります。
キャリアアップも叶う老年看護に役立つ資格があります!
老年看護の現場では、老人看護専門看護師や認知症看護認定看護師といった、特別な資格を持つ看護師さんたちが、病院や施設のほか教育・研究の現場でも活躍しています。
高齢者の健康と生活の質向上のための高度な技術と知識を持つ老人看護専門看護師や認知症看護認定看護師になるには、専門看護師教育課程の修了や、5年以上の専門分野の実務経験など、いくつかの条件がありますが、今後の社会で高い需要が見込まれる老年看護分野に役立つ資格を取得することはキャリアアップにも繋がるのではないでしょうか。
それぞれの資格について詳しくは、日本看護協会のリーフレットをご参照ください。
(「認定看護師ってどんな看護師?」「専門看護師ってどんな看護師?」)
また、資格取得の他に、老年看護についてもっと深く学びたいという看護師さんは、日本老年看護学会がHPで提供している、災害時の高齢者支援ガイドに関する情報や、同会の障害学習支援研修などを活用するとよいでしょう。
この先の社会において重要な老年看護で、命の終盤ステージにいる高齢の患者さんと真摯に向き合いQOL向上のサポートをすることは、看護師さんにとって大きな社会的意義を感じ、仕事へのやりがいを生む現場となるのではないでしょうか。