糖尿病や高血圧などの生活習慣病、高齢化などにより腎臓の機能が低下し、腎不全になってしまう人は増加傾向にあります。
人工透析を一度始めると生涯にわたって定期的に透析クリニックや病院の透析室に通うケースが多く、透析室に勤務することになる看護師さんは患者さんと長く関わることになるでしょう。
ここでは、患者さんがどのように透析療法を受けていくのか、詳しく見ていきましょう。
人工透析が必要な患者さんとは
日本の慢性透析患者数は2022年で347,474人。2010年の298,252人から約5万人も増加しています。
『2022 年日本透析医学会統計調査報告書』(PDF)
腎不全が進行すると命が危ぶまれることもあり、その治療として一般的に行われているのが人工透析です。
透析患者の増加に伴い、透析クリニックや、病院内にある透析室に勤務する看護師さんのニーズも年々高まってきました。
透析室での看護師さんの仕事内容としては透析機器の準備、透析前のバイタルチェック、穿刺、透析中の観察とケア、返血、抜針、止血、透析後のバイタルチェック、透析後の看護業務といったものが主になります。
透析室での仕事内容について、こちらもご覧ください。
人工透析の仕組み
腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分などをろ過する働きがあります。
腎不全に陥ると、腎臓がこういった働きができない状態になり、進行すると尿毒症になって食欲低下や嘔吐、呼吸困難などを引き起こします。
人工透析は、腎不全になった患者さんの血液を体内から体外へ出し、ダイアライザーという血液透析器を通して血液中の老廃物などを取り除いた後、また体に戻して循環させるという治療法です。
ダイアライザーが正常に機能しなくなった腎臓の代わりをしているのですね。
透析室での患者さん
人工透析は週3回、1回4~5時間程度、通院して行うのが一般的ですが、ほかにもいくつかの方法がありますのでご紹介します。
・長時間透析
1回6時間以上で週3回など、合計で週18時間以上の透析を行う
・頻回透析
隔日、連日など週5回以上の透析を行う
・オーバーナイト透析
夜の睡眠時間に7~8時間の透析を行う
・在宅血液透析
透析機器を自宅に設置し、病院等の指示のもと自分で透析を行う
施設に勤める看護師さんは、一般的な透析療法を行う現場を中心に、病院によっては長時間、頻回の透析療法を受ける患者さんの看護を受け持つ場合もあるでしょう。
オーバーナイト透析では夜勤ができる看護師さんが求められますし、在宅血液透析では訪問看護師さんが治療を支える場面が多いでしょう。
いずれにせよ、透析という専門分野を持つことでさまざまな働き方をする現場から必要とされる存在になるのではないでしょうか。
人工透析の流れ
では、人工透析を受けるために患者さんはどのような準備をしているのか見てみましょう。
シャントを作成
人工透析では、1分間に150~200mlの血液を透析装置に送り、体内に循環させる必要があります。
そのため、一般的には腕(多くは利き腕)の橈側皮静脈と橈骨動脈をつなぐ手術を行い、動脈血を静脈に流します。
これを自己血管シャントといい、安定した透析が行えるだけの血液量が流れることになります。
その他、人工血管内にシャントを作る、透析用カテーテルを使用する等の方法があります。
透析当日
人工透析には一般的に4~5時間かかるためリラックスして過ごしていただくこと、またシャントを圧迫しないことが必要です。
そこで楽な服装で来院するか、パジャマなどに着替え、締め付けの少ない衣服でベッドに横たわり、人工透析療法を受けます。
最近は、透析中にテレビのほか動画サービスを利用できたり、Wi-Fiが使えたりする施設もあります。
人工透析患者さんについて、イメージができたでしょうか。
高い頻度で病院に通い、長時間過ごすことが多い人工透析患者さんにとって、透析ナースは頼りになる存在でしょう。
できるだけ長く元気に生きていくために人工透析を頑張る患者さんに寄り添いたい、専門分野を持ってご自身のライフスタイルの変化に合わせて働きたいといった看護師さんは、透析ナースという働き方が向いているかもしれません。
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