看護師さんの賞与(ボーナス)は、勤務先によって大きく差が出ることをご存じでしょうか。日本看護協会の2024年度調査では、支給の有無、査定基準、総額、の3点で施設間の違いが明確に示されています。特に、病院と訪問看護ステーションでは制度の設計が大きく異なり、さらにクリニックや介護系施設では支給月数が控えめになる傾向が見られます。
この賞与についての現状を正確に把握するには、「支給されるかどうか」だけでなく、「どのように決まるか」「どれくらいの金額か」を理解し、また、年額を月換算するなど、同じ物差しで評価することが大切でしょう。
本記事では、2024年度の実態調査をもとに、施設別の賞与相場を整理し、求人票で確認すべきポイントまでわかりやすく解説しますので是非参考にしてみてください!
病院の賞与はどう決まる?支給率と査定基準をチェック
病院の賞与制度は、看護職の中でも最も整備されている領域です。 日本看護協会の調査によると、病院の賞与支給率は約9割以上と高く、支給回数は年2回が主流です。
| 病院の賞与額の査定基準 | |
|---|---|
| 1位 | 出怠勤 |
| 2位 | 能力評価 |
| 3位 | 目標管理の達成度 |
という順で、個人評価と組織全体の状況が反映される仕組みです
また、「支給基準日に在籍していること」が条件となるケースが多く、産休・育休中や中途入職者の扱いは病院ごとに異なります。制度の透明性が高い一方で、評価による差が出やすい点も理解しておくと安心です。
訪問看護ステーションの賞与は「設計次第」で大きく変わる
訪問看護ステーションでは、賞与の支給有無や金額にばらつきが見られます。
調査によると、賞与を支給している事業所は全体の約8割程度で、支給月数は、個人調査から推定すると、1.5〜2.5ヶ月分程度が中心で、病院よりやや控えめな傾向にあると言えます。
そして注目すべきは、オンコール手当の存在です。訪問看護では、夜勤の代わりにオンコール対応があり、待機手当や出動手当が月ごとに加算されるため、賞与だけを切り離して評価するのは難しい側面があります。たとえば、賞与が少なくてもオンコール手当が手厚い場合、年収全体では病院勤務と同等になるケースもあるため、訪問看護の賞与は「単体での金額」よりも、「他の手当とのバランス」を加味し、年間総額で見ることが重要でしょう。
クリニック・介護系施設の賞与はどう位置づけられる?
クリニックや介護系施設の賞与は、病院や訪問看護と比べて支給額・支給有無ともにばらつきが大きい点が特徴です。2024年度調査内に示される個人調査では、これらの施設は賞与総額が控えめで、法人規模や経営状況の影響を受けやすい傾向が示されています。
クリニックは法人規模が小さい傾向にあるため、
• 賞与の支給有無
• 支給基準日
• 欠勤控除の扱い
• 評価制度の有無
などが施設ごとに大きく異なります。
介護系施設は、介護報酬の影響を強く受けるため、賞与の安定性に課題が生じやすい領域と言えるでしょう。 また、賞与が少ない代わりに
• 月給が高め
• 残業代が安定
など、給与体系で補っているケースもあります。
そのため、クリニック・介護系の賞与も、単体で比較せず、年収全体の構造で評価することが必須です。
求人票で確認すべき賞与のポイントとまとめ
賞与は、支給の有無だけでなく、支給条件や査定方法によって実際の金額が大きく変わります。求人票や労働条件通知書を確認する際には、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。
賞与は、施設ごとに制度設計が異なるため、「支給の有無→査定基準→総額」の順で情報を整理し、月額換算で比較することが大切といえるかもしれません。さらに、「中途入職でも満額もらえるのか」「支給日はいつか」「評価はどのように決まるのか」など、細かい条件も見逃せません。もしも求人票に記載がない場合は、面接時に確認するのも一つの方法です。
あなたの頑張りが、きちんと報われる場所かどうか。納得のいく選択のために、数字の奥にある「しくみ」まで、しっかり見ていきましょう。


















・標準月数 → 年間何ヶ月分か
・在籍要件 → 支給基準日に在籍している必要があるか
・査定基準 → 人事考課、業績連動、欠勤控除の有無など
・支給区分 → 一律支給か、評価連動か