日本看護協会の調査によると、訪問看護ステーションで働く看護師さんの給与は、同年代の病院勤務者よりも低い傾向にあることが明らかになりました。しかし、賞与やオンコール手当といった“見えにくい手当”によって、実際の年収は大きく変動します。
本記事では、2024年度の実態調査をもとに、訪問看護と病院勤務の給与構造を比較しながら、求人票で注目すべきポイントをわかりやすく整理しました!
数字が語る!訪問看護と病院の「給与格差」の実態
2025年6月に発表された日本看護協会のニュースリリースでは、「訪問看護ステーション勤務は病院勤務よりも賃金が低い傾向にある」と明記されています。以下は、常勤・非管理職の看護師を対象にした給与比較の一例です。
| 項目 | 訪問看護ステーション勤務 | 病院勤務 |
|---|---|---|
| 基本給(月額) | 約246,000円 | 約260,451円 |
| 賞与(年間) | 約400,000〜600,000円 | 約500,000〜700,000円 |
| 夜勤・オンコール手当 | オンコール:月5,000〜15,000円+出動手当 (1回3,000〜6,000円) | 夜勤手当:1回8,000〜12,000円×月4回想定 |
| 年収の目安(概算) | 約370〜430万円 | 約430〜500万円 |
オンコール手当の頻度や金額によっては、訪問看護でも病院勤務と同等、あるいはそれ以上の年収になるケースもあります。つまり、給与の総額は「手当の設計次第」で大きく変わるということです。
訪問看護ステーションの給与項目には何がある?
訪問看護の給与は、「基本給+賞与+各種手当」で構成されています。とくに注目すべきは、オンコール手当と役職手当です。
• 賞与は年2回支給が一般的で、勤務成績や施設の業績に応じて年間40〜60万円程度。
• オンコール手当は、待機に対する定額支給(月5,000〜15,000円)と、出動時の加算(1回3,000〜6,000円)で構成されます。
• 役職手当は主任で5,000〜10,000円、所長で20,000〜40,000円が目安です。
これらを月額換算すると、以下のようなイメージになります。
| 役職 | 基本給 | 役職手当 | オンコール手当 | 月額合計(概算) |
|---|---|---|---|---|
| スタッフ | 246,000円 | ― | 約10,000円 | 約256,000円 |
| 主任 | 271,000円 | 5,000円 | 約10,000円 | 約286,000円 |
| 所長 | 338,000円 | 30,000円 | 約10,000円 | 約378,000円 |
病院の給与形態との比較で見落としがちな点
給与比較では、基本給や賞与だけでなく、“時間外の報酬”にも注目が必要です。
病院勤務では、夜勤手当や深夜割増が収入の柱となります。たとえば、夜勤を月4回こなせば、手当だけで月3〜5万円、年間では60万円近く上乗せされることもあります。
一方、訪問看護では夜勤はなく、代わりにオンコール対応があります。実働が少ない分、身体的な負担は軽いものの、精神的な緊張や生活リズムへの影響は無視できません。
つまり、「どう働いて、どう得るか」を理解することが、職場選びではとても大切なのです。
求人票でのチェックリストとまとめ
訪問看護の給与は、賞与やオンコール手当の設計によって大きく変動します。求人票を確認する際には、以下のポイントをチェックしてみましょう。
| カテゴリ | チェック項目 | 確認ポイントの例 |
|---|---|---|
| オンコール | 待機回数 | 月何回程度か(例:月5〜10回) |
| 待機手当 | 定額支給の有無と金額(例:月1万円) | |
| 出動手当 | 1回あたりの金額(例:3,000〜6,000円) | |
| 時間外扱い | 出動時の時間外手当の有無 | |
| 賞与 | 支給の有無 | 年2回など、支給実績の明記 |
| 査定基準 | 勤務成績・人事考課・業績連動など | |
| 実績月数 | 年間何ヶ月分か(例:2.5ヶ月分) | |
| 役職手当 | 管理職手当の有無 | 主任・所長などの役職に応じた支給の有無 |
| 手当の金額レンジ | 例:主任5,000円〜/所長20,000円〜 | |
| 通勤・訪問条件 | 通勤手段に応じた手当 | 車・バイク・自転車通勤の補助の有無 |
| 訪問件数の目安 | 1日あたりの訪問件数(例:4〜6件) | |
| 1件あたりの所要時間 | 訪問1件にかかる平均時間(例:30〜60分) | |
| 教育体制 | オンコール同行の回数 | 独り立ちまでに何回同行するか |
| 独り立ちの基準 | 期間・スキルチェックの有無 |
この表をもとに求人票を読み解くことで、単なる給与額だけでなく、働き方やサポート体制まで見えてきます。気になる職場があれば、面接時にこれらの項目を質問してみるのもおすすめです。
「金額」だけでなく、「働き方」や「支えられ方」にも目を向けて、自分に合った職場を見つけていきましょう。















